監理技術者証交付申請の要件に関する事例で、機械器具設置工事の業種として、以下の通りその回答と解説をします。
なお、監理技術者証の要件は、建設業許可業種の要件である(営業所)専任技術者の要件に一部関係するため、そちらを主として検討するかどうかも判断が可能です。
内容
回答:機械器具設置工事の監理技術者証の指導監督・実務経験について
1.元請工事における下請け業者が客先手配の場合の指導監督的実務経験
3.機械の入れ替えや部品の交換等で4500万円以上になった場合の指導監督
問題:建設業の監理技術者証の申請に関して
1.元請工事、申請業種、請負代金4500万円以上という点で指導監督的実務経験は満たしていますが、下請け業者が、発注者である工場の手配、つまり客先手配の場合は指導監督としてカウントできますか?
なお、自社社員は据付指導員としての据付けをしています。
2、機械の新規入れ替え工事や部品の入れ替え工事は、実務経験としてカウントできますか?
3,機械の入れ替えや部品の交換等で4500万円以上になった場合は、指導監督としてカウントできますか?
回答:機械器具設置工事の監理技術者証の指導監督・実務経験について
指導監督的実務経験に係る「指導監督的立場」とは
指導監督的実務経験とされるためには、指導監督的立場として工事現場の経験が必要です。原則、以下の立場を指します。
1. 元請の建設業者(ただし、下請無しの場合は施工体制台帳不要)
2. 1工事1名のポジション(施工体系図があれば2名以上も検討可能)
3. 主任技術者のほか、工事現場主任者や工事現場監督者等であること
1.元請工事における下請け業者が客先手配の場合の指導監督的実務経験
機械器具設置工事における監理技術者の指導監督経験として認められるためには、元請工事において、貴社がその工事の施工全般にわたり、専門的な知識・技術をもって指導監督を行った事実が必要です。
ご質問のケースのように、下請け業者がお客様の手配である場合、その下請け業者の施工に対する貴社の管理及び監理範囲がどうかという観点があります。
まず、上記3の主任技術者相当ではないため、契約関係によっては、通常の元請・下請関係と比較して限定的になると考えられます。
さらに、事実上は、下請けを使っているとしても、法的には、契約当事者として元請の系統が2つに分裂しうると考えます。1工事で2名の指導監督的立場の者がいることになると想像します。
この点も、施工体系図や契約書等がどうなっているか、その内容によると思います。
最後に、貴社の社員の方がSV(据付指導員)として据付に行っているとのことです。これが単なる技術的な指導に留まる場合、「指導監督」としての要件を満たすかどうかは判断が必要です。監理技術者の指導監督には、据付作業の指導に加えて、工程管理、品質管理、安全管理など、工事全体の管理に関わる包括的な責任が求められます。
以下が、監理技術者証交付申請先機関のCE財団が判断基準として示しているものです。
出典:一般財団法人建設業技術者センター(CE財団)、https://www.cezaidan.or.jp/managing/about/condition/pdf/condition02.pdf
これは、この事例の全ての回答の根本に利用可能な分かりやすい違いといえます。
すなわち、判断のポイントとしては、以下の点が重要となります。
契約内容・施工体制の確認: 元請契約において、お客様手配の下請け業者の施工に関して、貴社が具体的にどのような指導監督的ないし管理の責任を負っているのかをご確認ください。
実質的な管理状況: 貴社の社員の方が、単に据付方法を指導するだけでなく、お客様手配の下請け業者の作業全体に対して、工程、品質、安全面での管理・監督を行っている事実が必要です。
発注者との協議内容: お客様との間で、当該下請け業者の施工に関して、貴社がどのような役割を担うことが明確になっているかをご確認ください。
上記を踏まえ、実質的に貴社が元請としての指導監督責任を果たしていると認められる場合に限り、経験としてカウントできる可能性があります。
2.機械の新規入れ替え工事や部品の入れ替え工事の実務経験
監理技術者証について、機械器具設置工事に係る実務経験として認められるのは、建設業法上の「機械器具設置工事」に該当する工事における経験です。
一般的に、以下の工事は機械器具設置工事に該当する可能性が高いと考えられます。
工場、事業場における生産設備、搬送設備等の据付け工事
昇降機設備工事
その他、機械器具の組立て、据付け等を行う工事
単なる機械の修理や部品の交換など、既存の設備の機能維持を目的とした軽微な工事は、実務経験として認められない場合があります。
しかし、機械の新規入れ替え工事や、既存の設備を撤去して新たな設備を据え付ける工事など、規模や内容によっては実務経験として認められる可能性があります。
具体的な工事内容を精査し、機械器具設置工事に該当するかどうかを判断すべく、以下の資料があれば判断しやすいです(専任技術者変更届等で行政庁も求めてくるものです)。
1. 御見積書・内訳書
2. 図面
3. 写真等工事の内容がわかる資料
3.機械の入れ替えや部品の交換等で4500万円以上になった場合の指導監督
上記2でご説明した通り、まず当該工事が機械器具設置工事に該当するかどうかが重要です。
機械器具設置工事に該当し、かつ請負代金の額が4500万円以上である場合、その工事において監理技術者として必要な指導監督業務を適切に遂行していれば、指導監督経験として認められる可能性があります。
ただし、高額な工事であっても、その内容が単なる修理や部品交換に留まる場合や、貴社が指導監督の役割を十分に果たしていない場合は、指導監督経験として認められないことがあります。
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