内容

取消し類型によっては「再申請が不利」かを判断

「取消し」にはタイプがある:不利になる類型は?

  1. 要件不適合型(29条1項1号など)
  2. 不正・重大違反型(29条1項7号・8号など)

再申請で実務上問題になりやすい3つの論点

 1)新規許可申請への影響:審査そのものより「説明資料」が重くなる

 2)経審(経営事項審査)・入札参加:影響が最も大きいのはここ

 3)民間工事でも:契約解除・損害賠償・信用失墜の火種

取消し後の建設業許可再申請でよくある質問

 Q1. 取消し後に新規申請しても、また29条1号で取り消される?

 Q2. 新規申請で“不利”になる?(審査で落とされやすい?)

実務で失敗しないための「判断手順」チェックリスト

 Step1:取消し理由の確定(最重要)

 Step2:空白期間の工事を棚卸し

 Step3:再発防止の“見える化”

相談の多いパターン(当法人での対応イメージ)

行政書士法人への相談

法令等の上記の根拠箇所

 

取消し類型によっては「再申請が不利」かを判断

建設業許可が取り消された後でも、欠格事由(建設業法8条)に当たらなければ、法令要件を整えて新規申請が許可され得ます

ただし、実務上は次の2点で“難易度”が変わります。

  • 取消し理由が「不正」等に近いか(建設業法29条1項7号・8号違反であれば5年間の欠格事由に直結)
  • 許可の空白期間に行った工事をどう説明するか(経審・入札・契約リスクまで波及)

法令根拠について、本記事では主に以下3つを中心に解説します。

  • 建設業許可の取消し処分:建設業法29条(要件不適合・欠格該当・不正取得等で取消し)
  • 許可基準:建設業法7条(経管・営業所技術者・誠実性・財産的基礎)
  • 欠格事由:建設業法8条(例:「不正等取消し後5年」:8条2号)

 

「取消し」にはタイプがある:不利になる類型は?

A. 要件不適合型(29条1項1号など)

例:営業所技術者の退職・不在、経営業務管理責任者の要件欠落等
欠格事由に該当しない限り、再申請は法令上可能です。

B. 不正・重大違反型(29条1項7号・8号など)

例:不正の手段で許可取得、情状が特に重い違反、営業停止違反 等
取消日から5年間、新規許可ができない可能性が高い(建設業法8条2号等)。

つまり「取消し=全部同じ」ではなく、“どの号で取消されたか”が問題です。
同じ取消しでも、AとBでは次の打ち手がまるで変わります。

再申請で実務上問題になりやすい3つの論点

1)新規許可申請への影響:審査そのものより「説明資料」が重くなる

新規申請では、経歴書や工事経歴書等を提出します。ここで問題になりやすいのが、許可の空白期間(要件不適合〜再申請まで)に工事実績がある場合です。

  • 実績として書く
    → 「許可がない期間に工事をしていた」ことの説明が必要になり得ます(業種・契約主体・営業所・軽微工事の範囲等で評価が変わる)。
  • 実績として書かない
    → 虚偽記載リスク、また実務経験証明に使えない等の不都合が出る。

ポイント:再申請が“法律上不利”かどうかの観点は、空白期間の工事の内容などによって問題になります。

2)経審(経営事項審査)・入札参加:影響が最も大きいのはここ

公共工事を行う会社では、許可の「切れ目」は経営上の痛手になり得ます。

  • 空白期間の工事は、経審の完成工事高に計上できない扱いになりやすい
  • もし虚偽で計上し後日発覚すると、営業停止処分・指名停止などの二次被害に発展し得る
  • 許可の切れ目により、点数低下・入札資格の一時喪失が起こり得る

決裁者視点では、再申請よりも「経審・入札の復旧までの工程」と「空白期間の整理」が経営インパクトの中心になります。

3)民間工事でも:契約解除・損害賠償・信用失墜の火種

契約書上、「適法な許可を有すること」が前提になっていることは多いです。
空白期間の工事で瑕疵・遅延・事故が起きると、

  • 「実質的に無許可状態の施工」と主張され、契約解除・損害賠償で不利になり得る
  • 元請・発注者の与信審査で、継続取引に影響が出やすい

取消し後の建設業許可再申請でよくある質問

Q1. 取消し後に新規申請しても、また29条1号で取り消される?

A. 原因が解消していれば、通常は同じ理由での取消しにはなりにくいです。
ただし、例えば「無届の営業所が実質稼働していた」「無許可業種の受注が残っている」などです。つまり、可能性としては別の条文根拠があります。その他の原因例は届出履行義務違反です。

 

Q2. 新規申請で“不利”になる?(審査で落とされやすい?)

A. 取消し歴そのものを理由に必ず不許可になる仕組みではありません。
許可基準(7条)と欠格事由(8条)に該当しない限り、原理的には許可対象です。

ただし実務では、

  • 空白期間の受注・施工の整理
  • 体制是正(営業所技術者・経管・内部統制)
    について、追加説明や資料提出を求められることはあり得ます。

 

さらに、誠実性の許可基準については運用に注意が必要です。ただ、通常は、本件の違反を誠実性に反するとすることは難しいです。

実務で失敗しないための「判断手順」チェックリスト

取消し後の再申請は、次の順で判断することがおすすめです。

Step1:取消し理由の確定(最重要)

  • 取消しが 29条1項の何号
  • 8条2号(5年制限)に直結する 7号・8号系か
    → ここが確定しないまま動くと、時間とコストが無駄になりやすいです。

Step2:空白期間の工事を棚卸し

  • 契約主体(本店/支店/営業所)
  • 工種(許可業種/軽微工事の範囲)
  • 発注者(民間/公共、元請/下請)
  • 請求・入金・検収の状況
    → 「書く/書かない」ではなく、どう位置づけ、どう説明するかが論点です。

Step3:再発防止の“見える化”

  • 営業所技術者の常勤性・配置証明の整備
  • 変更届の運用(退職・異動が出たときの社内フロー)
  • 受注前チェック(業種許可・営業所・契約名義の確認)
    → 審査対応だけでなく、取引先説明・信用回復にも効きます。

相談の多いパターン(当法人での対応イメージ)

谷島行政書士法人グループでは、多様なケースで、以下のような適切な方針を組み立て、解決の手助けをしてまいります。

  • 「営業所技術者の退職」で要件不適合:

取消し回避/最短復旧の設計

  • 取消し後、空白期間に工事あり:

営業面や、受注実績、行政処分などの観点を含め、工事経歴・経審・契約リスクを一体で整理

  • 公共工事あり

入札復帰までの工程表を作り、社内体制を再構築

行政書士法人への相談

再申請が可能かどうかは、結局「どの号の取消しか」+「空白期間の工事の扱い」で決まります。
不安が残る場合は、取消処分の見通し予測・届出履歴・工事台帳の範囲で結構ですので、状況整理から一緒に進めます。

以上の点について、谷島行政書士法人グループは様々な対応が可能です。ぜひお声がけください。

 

法令等の上記の根拠箇所

根拠は以下です(建設業法29条1項)。

建設業法

 

(許可の取消し)

第二十九条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該建設業者の許可を取り消さなければならない。

一 一般建設業の許可を受けた建設業者にあつては第七条第一号又は第二号、特定建設業者にあつては同条第一号又は第十五条第二号に掲げる基準を満たさなくなつた場合

二 第八条第一号又は第七号から第十四号まで(第十七条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するに至つた場合

三 第九条第一項各号(第十七条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当する場合(第十七条の二第一項から第三項まで又は第十七条の三第四項の規定により他の建設業者の地位を承継したことにより第九条第一項第三号(第十七条において準用する場合を含む。)に該当する場合を除く。)において一般建設業の許可又は特定建設業の許可を受けないとき。

四 許可を受けてから一年以内に営業を開始せず、又は引き続いて一年以上営業を休止した場合

五 第十二条各号(第十七条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するに至つた場合

六 死亡した場合において第十七条の三第一項の認可をしない旨の処分があつたとき。

七 不正の手段により第三条第一項の許可(同条第三項の許可の更新を含む。)又は第十七条の二第一項から第三項まで若しくは第十七条の三第一項の認可を受けた場合

八 前条第一項各号のいずれかに該当し情状特に重い場合又は同条第三項若しくは第五項の規定による営業の停止の処分に違反した場合

2 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第三条の二第一項の規定により付された条件に違反したときは、当該建設業者の許可を取り消すことができる。

 

 

許可基準及び欠格事由の法令は以下の通りです。

(許可の基準)

第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

一 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。

二 その営業所ごとに、営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であつて、次のいずれかに該当する者をいう。第十一条第四項及び第二十六条の五において同じ。)を専任の者として置く者であること。

イ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による実業学校を含む。第二十六条の八第一項第二号ロにおいて同じ。)若しくは中等教育学校を卒業した後五年以上又は同法による大学(旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。同号ロにおいて同じ。)若しくは高等専門学校(旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を含む。同号ロにおいて同じ。)を卒業した(同法による専門職大学の前期課程を修了した場合を含む。)後三年以上実務の経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの

ロ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者

ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者

三 法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。

四 請負契約(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。

第八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあつては、第一号又は第七号から第十四号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。

一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

二 第二十九条第一項第七号又は第八号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者

三 第二十九条第一項第七号又は第八号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日から当該処分があつた日又は処分をしないことの決定があつた日までの間に第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出をした者で当該届出の日から五年を経過しないもの

四 前号に規定する期間内に第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、前号の通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの

五 第二十八条第三項又は第五項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

六 許可を受けようとする建設業について第二十九条の四の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者

七 拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

八 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

九 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(第十四号において「暴力団員等」という。)

十 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの

十一 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに第一号から第四号まで又は第六号から前号までのいずれかに該当する者のあるものに係る部分に限る。)のいずれかに該当するもの

十二 法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第十号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの

十三 個人で政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第十号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの

十四 暴力団員等がその事業活動を支配する者

 

 

 

 

 

この記事の監修者

谷島 亮士
谷島 亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。
 
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行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。▶ ご依頼、セミナー、取材等のお問合せはこちら

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特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
 
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
 
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他