営業所技術者が退職して不在になった、支店(従たる営業所)が実体としてなくなっていた——このような状態は、建設業許可の「要件欠格」に直結し、許可取消しに発展することがあります。

まずは、法律上の位置づけと、実務上の“穏便又は妥当な着地”を目指せるよう、整理します。具体的には、その原因や期間の長短など様々な判断要素があります。

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内容

営業所技術者の不在は「許可要件不適合」になる

建設業法29条(許可の取消し)のポイント

大臣許可の要件喪失(営業所が複数都道府県にない)は「全廃業→新規申請」?

無許可営業リスク(500万円以上の工事など)に要注意

罰則(建設業法47条)と、波及リスク(経審・入札・契約)

行政庁が「取消し」ではなく「自主廃業(全廃業届)」を促すケース

営業所技術者不在時、処分を受ける前にすぐにすべきこと

法令根拠 (建設業法等)

 

営業所技術者の不在は「許可要件不適合」になる

建設業法では、許可業者が許可基準を満たさなくなった場合、許可取消しの対象となります。根拠は建設業法29条で、許可基準不適合等の各類型が列挙されています。

(要点)

  • 営業所技術者が不在=人的体制要件が崩れる
  • 行政庁から見ると「要件欠格(基準不適合)」の状態になり得る

建設業法29条(許可の取消し)のポイント

建設業法29条は「許可を取り消さなければならない」場面を規定しています。

実務上重要なのは、“要件を満たさなくなった時点”がいつなのか、という点です。

大臣許可の要件喪失(営業所が複数都道府県にない)は「全廃業→新規申請」?

このようなケースでは、従たる営業所が実態として消滅し、結果として大臣許可の要件(複数都道府県に営業所)を喪失しています。

この場合、行政庁としては「許可の連続性を保つ許可換え」ではなく、過去に遡って整理(全廃業)→新規という処理になりやすい、という整理でした。

ただし、要件不適合から直ちに充足可能かどうかが判断ポイントです。

無許可営業リスク(500万円以上の工事など)に要注意

要件を欠いた期間に、一定規模以上の工事(例:請負代金500万円以上等)を請け負っていると、実質的に無許可状態での営業とみられるリスクが高い、というのが警告ポイントです。

 

罰則(建設業法47条)と、波及リスク(経審・入札・契約)

許可がある限りは、通常、不適合であっても直ちに無許可営業になりません。

しかし、無許可営業になるケースでは、刑事罰(建設業法47条:3年以下の懲役または300万円以下の罰金)に触れ得る点が挙げられています。

また、波及リスクとして次を整理します。

  • 新規許可申請:工事実績の記載が「自白」になったり、逆に不記載は虚偽リスクがある
  • 経審・入札:空白期間の完成工事高に計上できない/虚偽でないと考えられることもあるが、営業所技術者がいない状態でのその業種の工事計上は重い不利益に発展する
  • 契約トラブル:発注者から解除・損害賠償の火種になり得る

 

行政庁が「取消し」ではなく「自主廃業(全廃業届)」を促すケース

法律上は取消し事由に該当し得る一方で、行政庁が「全廃業届」を案内する場面もあります。取消処分(ペナルティ)を行う前に、自主的な廃業として処理する運用の可能性があります。状況に応じて問題になるかどうかはご相談ください。

営業所技術者不在時、処分を受ける前にすぐにすべきこと

  • 行政庁の指示(全廃業/一部廃業/許可換え等)を文書・メモで確定
  • 要件を欠いた日(営業所消滅日/技術者退職日)を確定し、空白期間を把握
  • 新規許可が下りるまで、一定規模以上の新規契約は慎重に(無許可営業の上書きを避ける)
  • 新規申請での工事経歴の扱いは、“正直さ”と“書き方”の設計が重要

 

法令根拠 (建設業法等)

上記のように、建設業法において、許可の取消しは営業所技術者などの不在による許可基準不適合でも起こります。根拠は以下です(建設業法29条1項)

建設業法

 

(許可の取消し)

第二十九条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該建設業者の許可を取り消さなければならない。

一 一般建設業の許可を受けた建設業者にあつては第七条第一号又は第二号、特定建設業者にあつては同条第一号又は第十五条第二号に掲げる基準を満たさなくなつた場合

二 第八条第一号又は第七号から第十四号まで(第十七条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するに至つた場合

三 第九条第一項各号(第十七条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当する場合(第十七条の二第一項から第三項まで又は第十七条の三第四項の規定により他の建設業者の地位を承継したことにより第九条第一項第三号(第十七条において準用する場合を含む。)に該当する場合を除く。)において一般建設業の許可又は特定建設業の許可を受けないとき。

四 許可を受けてから一年以内に営業を開始せず、又は引き続いて一年以上営業を休止した場合

五 第十二条各号(第十七条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するに至つた場合

六 死亡した場合において第十七条の三第一項の認可をしない旨の処分があつたとき。

七 不正の手段により第三条第一項の許可(同条第三項の許可の更新を含む。)又は第十七条の二第一項から第三項まで若しくは第十七条の三第一項の認可を受けた場合

八 前条第一項各号のいずれかに該当し情状特に重い場合又は同条第三項若しくは第五項の規定による営業の停止の処分に違反した場合

2 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第三条の二第一項の規定により付された条件に違反したときは、当該建設業者の許可を取り消すことができる。

 

基準不適合になった場合の取消しは、行政処分であっても「欠格事由に該当しない取消し」です。

別の記事で新規申請の注意点も説明いたします。

建設業許可の取消し後、再度の新規申請は不利になる?

この記事の監修者

谷島 亮士
谷島 亮士
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。
 
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・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
 
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