内容

機械器具設置工事に該当する専任技術者・監理技術者証が必要な工事… 1

機械器具設置工事の専任技術者・監理技術者が難しい理由… 2

資格、指定学科、経験で機械器具設置工事の専任技術者・監理技術者となれる候補者類型のまとめ… 4

機械器具設置工事の監理技術者となれる直接かつ1級相当の資格… 5

機械器具設置工事の1級・2級技士補又は1級技能士… 6

機械器具設置工事の登録基幹技能者… 6

行政書士が機械器具設置工事業の特定建設業コンプライアンスや監理技術者証の取得をサポート… 7

 

機械器具設置工事に該当する専任技術者・監理技術者証が必要な工事

産業廃棄物処理業の中間処理工場や、鉄道機械の設置をする際に行う施工などは、多くは機械器具設置工事になります。

この点、基本的には業種を問わず、広くプラント機械工事その他機械の組み立てが、機械器具設置工事に該当します。その本質は「組立・設置」です。

典型的な具体例は、以下の通りです。

  • プラント設備工事
  • 運搬機器設置工事
  • 内燃力発電設備工事
  • 集塵機器設置工事
  • 給排気機器設置工事
  • 揚排水機器設置工事
  • ダム用仮設備工事
  • 遊戯施設設置工事
  • 舞台装置設置工事
  • サイロ設置工事
  • 立体駐車設備工事

 

上記工事の内、監理技術者証の必要性の有無は専任現場があることですが、金額が多くなりがちな機械器具設置工事において、ほぼ必要となるでしょう。

特定建設業許可業者の配置技術者義務違反を防ぐコンプライアンス対応として、また技術者のキャリアアップとして必須の申請です。

 

機械器具設置工事の専任技術者・監理技術者が難しい理由

以上の通り、プラント工事や設備などの機械の組み立てを行う工事は機械器具設置工事となることが多いです。しかし機械器具設置工事業の場合、専任技術者などになれる要件として、1級の資格者がほとんどいないことが課題となっております。

例えば、技術士なら可能ですが、1級施工管理技士として「機械」のカテゴリーは現時点でありません(2025年3月31日時点)。

 

機械器具設置工事は指導監督的実務経験等があれば特定営業所(専任)技術者・監理技術者となれる?

機械器具設置工事の業界は、上記の理由から、多くの場合、指導監督的実務経験によって、要件を満たすことが通常となります。

機械器具設置工事は指定建設業以外の業種であるため、指導監督的実務経験があれば1級技士等の国家資格がなくても可能ということです。

 

しかし、指導監督的実務経験を満たすための要件や、資格と指定学科などの関係も複雑です。したがって、この解説でまとめてまいります。

 

 

機械器具設置工事特有の課題:契約形態

機械器具設置工事の業界は、指導監督的実務経験が必要なことが多い点は、契約の形態が請負と複合的な業界であることが、さらなる複雑化を招きます。

例えば、機械器具の搬入工事を行う場合、機械器具の売買契約が多くあります。

その設置工事まで行う場合、通常の請負契約書でない場合があります。

その場合、いつまでたっても建設業許可や監理技術者証が交付されないことになります。

 

したがって、計画的に契約図書を整備していき、建設業許可に適合させることが許認可を得るうえで必要となります。

 

機械器具設置工事特有の工期

機械器具設置工事の場合、要件適合が厳しい面として、契約工期をそのまま立証資料として使えません。

具体的には、工期の全てでなく、現場での機械の組立・設置工事期間のみが機械器具設置工事であったとされます。

 

この理由は、とび・土工工事業などの附帯工事と混同が生じやすい機械器具設置工事ではそれと区別するためです。

 

したがって、東京都等の場合は、上乗せで工期の証明資料まで必要です。

 

 

機械器具設置工事特有の申請資料の上乗せ:東京都等

機械器具設置工事の場合、東京都等では提出資料が上乗せされます。

東京都の場合、具体的には、以下の資料等が上乗せされますが、事案や行政庁ごとに異なります。

1. 工事の見積書・内訳書

2. 写真等工事の内容がわかるもの

3. 組立・設置の期間がわかるもの

 

資格、指定学科、経験で機械器具設置工事の専任技術者・監理技術者となれる候補者類型のまとめ

以下の表に主な要件をまとめます。

経験要件の類型 具体例 必要な実務経験年数(指導監督的実務経験)
関連資格無しかつ指定学科修了無し 10年以上(うち指導監督的実務経験2年以上)
指定学科修了者(大学・短大・高専卒、専門士ありの専門卒) 建築学

機械工学

電気工学

卒業後3年以上(うち指導監督的実務経験2年以上)
指定学科修了者(高校卒) 建築学

機械工学

電気工学

卒業後5年以上(うち指導監督的実務経験2年以上)
1級技術検定一次合格又は2級技術検定合格者の内、以下の者:

  • 1級技士
  • 1級技士補
  • 2級技士
  • 2級技士補

 

建築施工管理技士

電気施工管理技士

菅施工管理技士

 

 

2年以上(指導監督的実務経験)
2級技術検定相当の1級技能士

又は他法令の国家資格等保有者

無し 2年以上(指導監督的実務経験)
1級技術検定又は他法令の国家資格等保有者 技術士:

機械

機械(熱・動力エネルギー等)

その他:講習受講者・他試験合格者等 登録基幹技能者:

登録計装基幹技能者

10年以上(うち職長経験3年以上)+左記資格取得の上、講習

2年以上(指導監督的実務経験)

上記いずれの場合も指導監督的実務経験(現場主任等として他の技術者を指導・監督した経験)は最低2年の必要があります。

この指導監督的実務経験期間は、全体の実務経験年数と重複してカウント可能です(例:大学指定学科卒の場合、卒業後3年間のうち2年を指導監督的経験としていれば要件を満たす)。

例えば、技能検定合格の場合は合格後一定年数の実務(例えば最新の基準では2級施工管理技士合格後3年など)を経ていれば、指導監督的経験2年で申請可能となります。

 

 

機械器具設置工事の監理技術者となれる直接かつ1級相当の資格

機械器具設置工事では、直接該当する1級の資格はありません。

しかし、他の法令である「技術士法」の技術士のうち、機械部門等の場合は、国家資格者として監理技術者となることができます。

 

建設業法施行規則

(法第七条第二号ハの知識及び技術又は技能を有するものと認められる者)

第七条の三

三 技術士法第四条第一項の規定による第二次試験のうち技術部門を機械部門又は総合技術監理部門(選択科目を機械部門に係るものとするものに限る。)とするものに合格した者

機械器具設置工事の1級・2級技士補又は1級技能士

施工管理技士以外にも、技士補の法改正がありました。これは施工管理技士の1次試験のみの合格であっても、合格後の実務経験が3年又は5年以上あれば、監理技術者になれる制度です。

ただし、1級技能士の方は、機械器具設置工事で該当する資格がありません。

 

建設業法施行規則

(法第七条第二号ハの知識及び技術又は技能を有するものと認められる者)

第七条の三

機械器具設置工事業

一 技術検定のうち建築施工管理、電気工事施工管理又は管工事施工管理に係る一級の第一次検定又は第二次検定に合格した後機械器具設置工事に関し三年以上実務の経験を有する者

二 技術検定のうち建築施工管理、電気工事施工管理又は管工事施工管理に係る二級の第一次検定又は第二次検定に合格した後機械器具設置工事に関し五年以上実務の経験を有する者

 

 

機械器具設置工事の登録基幹技能者

登録基幹技能者として「機械器具設置工事」に該当する資格区分は以下の通りです。

業種 登録基幹技能者の資格区分
機械器具設置工事 登録計装基幹技能者

登録基幹技能者も「法第七条第二号ハの知識及び技術又は技能を有するものと認められる者」とされて(建設業法施行規則第七条の三の該当者となって)おります。法令根拠は以下の通りです。

建設業法施行規則

建設業法施行規則第七条の三

三 前二号に掲げる者のほか、第十八条の三第二項第二号に規定する登録基幹技能者講習(許可を受けようとする建設業の種類に応じ、国土交通大臣が認めるものに限る。)を修了した者

四 国土交通大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認める者

法7条2号の該当者は、「営業所専任技術者」ができるとされていますが、法7条2号ハが委任する施行規則第7条の3第3項により営業所専任技術者となれる者の内、登録基幹技能者は、さらに「主任技術者」になれます。

この点、「特定建設業許可の営業所専任技術者」や「監理技術者」になれないという説があります。

しかし、特定建設業許可や監理技術者であっても、法15条2号ロの指導監督的実務経験に該当すれば可能となります。

したがって、登録基幹技能者は新しい制度で事例が少ないと考えられますが、主任技術者の指導監督的実務経験を積んでいる監督は、専任技術者つまり特定営業所技術者や、監理技術者証候補者としても、これから可能性があると考えます。

 

ただし、登録基幹技能者講習受講のためには、実質、基本要件として10年以上の実務経験が求められることがあります。

さらに、いくつかの資格で可能となっていますが、その資格によっては、10年より短く、機械器具設置工事における「1級計装士」の受験をする方法の場合、それより短い年数があります。下記のように5年以上などで、指導監督的実務経験1年以上などといった、また異なる年数の受験要件となっております。

2級の場合は2年以上でよいなど緩和があります。

出典:一般社団法人日本計装工業会、https://www.keiso.or.jp/sikenn/

行政書士が機械器具設置工事業の特定建設業コンプライアンスや監理技術者証の取得をサポート

谷島行政書士法人は、許可後もコンプライアンス顧問に強い事務所として、2009年の開業以来、以下の建設業者様のサポートを行って、結果を出してまいりました。

■ 機械器具設置工事業で特定建設業許可が取れない

■ 機械器具設置工事の監理技術者がいない

 

■ 指導監督的実務経験の証明が難しい

 

ぜひ、谷島行政書士法人のお声がけください。

この記事の監修者

tanishima