「数年前に支店を閉鎖し、専任技術者も退職していた」という建設業許可のトラブル事例を行政書士が事例解説します。長期間要件を欠いている場合、単なる変更届ではなく「全廃業後の新規申請」となる可能性が高いです。
本記事では、発覚時のリスク検討から、今すぐ会社が取るべきアクションまでを簡潔にまとめました。
1.相談の経緯(時系列:事実)
➀ABC株式会社のAさんから連絡
「従たる営業所(仙台支店)がなくなっている。営業所(専任)技術者も退職している。」
仙台支店の廃業届は令和3年に提出済み、とのこと。
➁今後の届出手続を検討するため、行政庁に確認
2.相談者の質問
Q.国土交通大臣許可(一般)を持っている会社から、「従たる営業所(仙台支店)がなくなっており、営業所(専任)技術者も退職している」と連絡がありました。なお、営業所の廃業届は令和3年に提出しています。
これから建設業の届出を出しますが、行政庁の担当者からは「要件を満たさず全廃業となるので、その全廃業の届出を出した後、へ新規申請することになる」と言われました。
この場合、要件を満たさなくなっているのが令和3年なので、それ以降に現在まで500万円以上の工事を請けていると、実態として問題かと思います。他にどのような問題が考えられるでしょうか?
3.行政庁とのやり取り
3-1.地方整備局担当者との電話
- 争点:許可換えが先か/一部廃業が先か
- 回答:地方整備局へ「全廃業」を提出し、その後「埼玉県へ新規申請」してもらう
- 整理:許可換えではない(=許可の連続性を前提としない流れ)
3-2.当初の案内
- 「先に一部廃業し、後で埼玉県へ許可換えしてもらう流れ」と案内される。
- しかし、その後に、「やはり全部廃業するしかない」との連絡。
4.行政書士による事実の検討
- 許可はあるが、以下の疑義があるため取消し事由に該当するおそれはある。
➀ 技術者要件を欠いている。
➁ 営業所要件を欠いている。
➂ 変更届の履行義務違反である
5.想定される問題
- ➀要件を満たさない期間の確定(いつからか)
- 令和3年時点で要件欠如となっている可能性がある、という前提が置かれている。
- ➁500万円以上の工事受注の有無(令和3年以降〜現在)
- 相談者は「令和3年以降に500万円以上の工事を請けていると実態として問題」と認識している。
- ➂行政庁が「取消処分」ではなく「全廃業(自主的届出)」として処理する意向か
- 行政庁の案内は「全廃業→新規」とされている(ただし、当初案内と変遷あり)。
- ➃新規申請時の整理負担
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- 埼玉県へ新規申請とされているため、申請資料・時系列説明・実績整理が必要になる可能性がある。
- ➄対外的影響
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- 許可の連続性が前提にならない流れのため、許可の空白期間が問題化する可能性がある。
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- 「全廃業」の可能性があるため、現時点では自主的届出として受理される見込みで可能なら、1日も早く提出へ向かった方がよい。
- 埼玉県へ新規申請とされているため、申請資料・時系列説明・実績整理が必要になる可能性がある。
6.次のアクション
➀地方整備局へ「全廃業届」を提出
➁並行して、埼玉県窓口に「新規申請」の事前相談
➂令和3年以降の受注状況(特に500万円以上)を社内で確認・資料収集
➃従たる営業所(仙台支店)に関する廃業届控え、専任技術者の退職日が分かる資料、受注台帳などを時系列整理
7.会社への伝達
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- 行政庁からは「全廃業届を提出後、埼玉県で新規申請」という案内です。
- 令和3年以降、要件を満たしていない期間がある可能性があるため、当該期間の受注状況(500万円以上の工事の有無)を確認します。
- 新規申請に向け、経緯と資料を時系列で整理し、埼玉県窓口へ事前相談を行います。
この記事の監修者

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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。
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- 資格等
特定行政書士、宅建士、アメリカMBA・TOEIC、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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